2025年度 食教育分科会 フィールドワーク報告

(那覇まちま〜い “壺屋/やちむん通り&ぶくぶく茶体験”)

11月29日(土)に行われた今年度の食教育分科会では、大道小学校で行われた那覇支部の分科会とは別日程で、地域の生活文化や歴史に触れる“まち歩き型の学び”として、那覇の「まちま〜い」を活用しました。舞台は焼き物の町、壺屋のやちむん通り。単なる見学ではなく、壺屋のまちなみ、ものづくり、郷土の文化を“歩いて”“見て”“触れて”学ぶフィールドワークとなりました。

■ 「那覇まちま〜い」で歩くことで見えてきた壺屋の町

まちま〜いの地元ガイドとともに壺屋の通りを散策。
ただ通りを歩くだけでは気づきにくい 古い町屋の屋根や壁の装飾、シーサー、石敢當(いしがんとう)やすーじぐゎー(細い路地)。焼き物の欠片が埋め込まれた歩道 といった“町の痕跡”や観光地としての価値を高めるための工夫などを次々に教えてもらい、壺屋という町に刻まれた時間と歴史を実感できました。

那覇市では、壺屋や首里を含めた“歴史文化を感じられる街並みづくり”に取り組んでおり、まちま〜いはその取り組みの一翼を担うものでもあると紹介されていました。

■ 陶房見学と壺屋焼き ― 手仕事と地域の暮らしを知る体験

壺屋の陶房に入って、土づくり・成形・焼成・仕上げまでの工程を観察。
見るからに職人の“勘”だけでなく、厚み・重さ・寸法をきちんと測りながら均一に焼きあげる厳密な手仕事であることを知り、壺屋焼きが単なる“土産もの”ではなく、長年地域で育まれてきた“暮らしの道具”であることが伝わってきました。

こうした現場を見ることで、器がどのようにできて、どんな人たちの暮らしに根付いてきたのか――手に取るだけでは気づきにくい“ものづくりの背景”に触れられました。

■ ぶくぶく茶体験:歴史・文化との関わりと“今”

壺屋での体験のひとつとして、郷土の茶文化であるぶくぶく茶 を味わいました。体験したお店は、やちむん通りの中ほどにある「うちなー茶屋ぶくぶく」です。

ぶくぶく茶は、煎り米湯とお茶を混ぜて泡立てる独特の沖縄の茶文化。歴史的には 王府のもてなし や祝いの席で飲まれたとされる伝承があり、一度途絶えた後、近年保存・復興の取り組みで今に伝えられてきた“再生された文化”のひとつです。

今回の体験では、初めて口にする人が多く、「泡だけでは味が淡いが、お茶やお菓子とともに飲むと香ばしくやさしい味になる」「地域の日常や暮らし、歴史を感じられる体験」として非常に好評でした。

■ なぜ「まちま〜い × 食教育」が意味を持つのか

今回のように、まちま〜いを活用して

  • 地域の町並み・路地・歴史を肌で感じ
  • ものづくり(壺屋焼き)を見学し理解
  • その土地の食文化(ぶくぶく茶)を体験

という “食・文化・ものづくり・地域”が一体となった学び を行うことで、子どもたちや参加者にとって「食育」を教室だけの学びではなく、地域の歴史と暮らし、人々の営みを理解する入口にできると思います。

また、まちま〜いは個人参加、少人数、修学旅行向け、家族向けなど多様なプランがあり、アクセスしやすいのも利点。地元の人も観光客も、地域への理解を深めるきっかけになります。

■ 総括

「那覇まちま〜い」を舞台にした今回の食教育分科会のフィールドワークは、
ただ「見て楽しむ」「味わう」だけでなく、壺屋という町の歴史、文化、暮らし、ものづくり、そして食文化――すべてがつながる総合的な学びの場になりました。

これからの食教育には、教室の学びとあわせて、こうした地域のまち歩きや体験型プログラムがとても大きな意味を持つと思います。

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