新しいシステムの導入で学校の仕事はどう変わるのか。現場の声を大切にした検証と改善が求められます。
沖縄県内の小中学校で、統合型校務支援システム「C4th(シーフォース)」の導入が進められています。
校務支援システムは、出欠管理や成績処理、通知表・指導要録の作成など、教職員が日常的に行う事務作業を効率化するためのものです。これまで個別に管理していた情報を一元化することで、重複する入力作業の削減や情報共有の円滑化などが期待されています。
一方、新しいシステムの導入によって、操作方法の習得や業務手順の変更など、新たな対応が必要になることも考えられます。
大切なのは、システムを導入したという事実ではなく、実際に教職員の負担が軽減され、学校の業務が円滑に進むようになるかどうかです。
沖教組那覇支部としても、導入の状況や学校現場への影響を把握し、必要な改善につなげていくことが重要だと考えています。
沖縄県内で進む校務支援システムの共通化
沖縄県では2025年、県内の小中学校で使用する次世代型校務支援システムの県域共同調達に向けた公募を実施しました。
同年7月には、株式会社EDUCOM、株式会社興洋電子、株式会社学映システムによる共同企業体が選定されました。
EDUCOMが提供する「C4th」は、2026年4月から県内の小中学校に順次導入される計画となっています。
県内の市町村がそれぞれ導入してきた校務支援システムの仕様を共通化することで、学校間や自治体間の情報連携を円滑にすることなどが目的とされています。
ただし、導入時期は自治体によって異なり、すべての学校が一斉に新しいシステムへ移行するわけではありません。
また、県立高校や県立特別支援学校の校務支援システム更新は、今回の小中学校向け共同調達とは別の事業として進められています。
那覇市でも校務DXを推進
那覇市では2019年11月から校務支援システムを導入し、学校事務の電子化を進めてきました。
那覇市教育委員会が公表している「校務DX計画」では、県域の共同調達に基づく共通仕様による次世代型校務支援システムの導入方針が示されています。
同計画では、非効率的な入力業務の改善や、各学校への操作研修の実施なども掲げられています。
新しいシステムの導入にあたっては、これまでの業務をどのように引き継ぎ、何を見直すのかが重要になります。
システムの変更に伴って新たな作業が増える一方で、従来の作業がそのまま残るようでは、十分な効率化にはつながりません。
学校現場の実情を踏まえながら、業務全体を見直していくことが求められます。
新しいシステムの導入で考えられる課題
校務支援システムには、事務作業を効率化する可能性があります。しかし、その効果は実際の使い勝手や運用方法によって大きく左右されます。
導入にあたっては、次のような点を確認していく必要があります。
① 操作が複雑になっていないか
教職員が日常的に使用するシステムでは、操作の分かりやすさが重要です。
例えば、出欠情報を入力するために何度も画面を切り替える必要があったり、必要な項目を探すのに時間がかかったりすれば、日々の業務に影響します。
一つひとつの操作にかかる時間はわずかでも、毎日繰り返すことで負担が積み重なる可能性があります。
新しいシステムに慣れるための時間は必要ですが、使いにくさの原因をすべて教職員の習熟不足に求めることは適切ではありません。
操作方法だけでなく、画面の構成や入力手順そのものに改善の余地がないかを検討することも必要です。
② 二重入力や重複する業務が残っていないか
校務支援システムの導入によって期待される効果の一つが、重複する事務作業の削減です。
しかし、システムに入力した情報を別のExcelファイルにも入力したり、紙の書類に転記したりする状況が残れば、業務の効率化は十分に進みません。
新しいシステムを導入する際には、従来の書類や業務手順を整理し、不要になった作業を廃止することも必要です。
単に紙の書類を電子化するだけでなく、仕事そのものを減らせているかが問われます。
③ 研修や支援体制は十分か
新しいシステムを使いこなすには、操作方法を理解するための時間が必要です。
しかし、多忙な学校現場では、十分な研修時間を確保することが難しい場合もあります。
操作方法が分からず、教職員が自分で調べたり、詳しい同僚に質問したりすることが増えれば、かえって負担になる可能性があります。
また、ICTに詳しい一部の教職員に問い合わせが集中することも考えられます。
研修を勤務時間内に十分確保するとともに、導入後も必要な支援を受けられる体制が求められます。
④ 新たな報告や管理業務が増えていないか
システムによって情報を集約しやすくなることは、業務の効率化に役立つ可能性があります。
一方で、入力できる項目が増えたことによって、新たな報告や管理業務が追加されることも考えられます。
データを収集できることと、そのデータを収集する必要があることは別の問題です。
新しい入力項目や報告業務を設ける場合には、その必要性や教職員の負担を十分に検討することが重要です。
⑤ 現場の意見を改善に反映できるか
どのようなシステムでも、実際に使い始めてから改善すべき点が見つかることはあります。
「この操作はもっと簡単にできないか」「この帳票は作成できないか」「この入力は省略できないか」。
こうした現場の意見を、教育委員会やシステムの事業者に伝え、改善につなげる仕組みが必要です。
すぐに対応できるものもあれば、システムの改修などに時間がかかるものもあるでしょう。
重要なのは、寄せられた意見がどのように扱われ、どのような改善が行われたのかを教職員が確認できることです。
導入の効果をどう確かめるか
校務支援システムの導入効果を判断するためには、実際に教職員の業務がどのように変化したのかを確認する必要があります。
例えば、出欠管理や成績処理、通知表作成に要する時間は短くなったのか。紙の書類や転記作業は減ったのか。新しい操作を覚えるために、どの程度の時間が必要になったのか。
こうした実態を把握することが重要です。
また、導入直後には、操作に慣れていないことなどから、一時的に作業時間が増える場合も考えられます。
そのため、導入直後の状況だけでなく、一定期間が経過した後の変化も確認する必要があります。
システムを導入した学校数や利用率だけでは、教職員の負担軽減が実現したかどうかは分かりません。
教職員の仕事が実際にどう変わったのか。その実態をもとに導入効果を検証することが大切です。
学校現場の声を大切に
新しい校務支援システムの導入をめぐっては、学校によって状況が異なることも考えられます。
従来より便利になった業務がある一方で、操作に戸惑ったり、これまでとは異なる手順に負担を感じたりすることもあるでしょう。
大切なのは、そうした声を丁寧に把握することです。
便利になった点は共有し、改善が必要な点は具体的に整理する。学校ごとの工夫を共有するとともに、個々の学校だけでは解決できない課題については、教育委員会や事業者による対応を求めていく。
そのような取り組みが、校務支援システムを実際の負担軽減につなげるうえで必要だと考えます。
現時点では、那覇市内の各学校で新しいシステムがどのように運用され、教職員の業務にどのような影響が生じているのか、十分に把握できているわけではありません。
だからこそ、先入観を持たず、現場の実態を確かめることが出発点になります。
教職員の負担軽減という目的を見失わずに
学校のデジタル化は、教職員の働き方を改善するための手段の一つです。
事務作業に費やす時間が減れば、授業の準備や教材研究、子どもたちとの対話など、教育活動により多くの時間を充てられる可能性があります。
しかし、システムを導入しただけで、そうした変化が自動的に生まれるわけではありません。
必要な研修や支援を確保し、業務の進め方を見直し、実際に使用する教職員の意見を改善に反映させることが欠かせません。
沖教組那覇支部は、校務支援システムの導入・運用にあたって、教職員の負担軽減という目的が十分に果たされることを重視しています。
そのためにも、学校現場の声を丁寧に把握し、必要な改善を求めていくことが大切だと考えます。
校務支援システムが、教職員に新たな負担を生むものではなく、日々の仕事を支える道具として役立つものになること。
その実現に向けて、学校現場の実態を踏まえた検証と改善が求められています。
参考資料
- 沖縄県「次世代型校務支援システム県域共同調達に係る公募について」
- 那覇市教育委員会「校務DX計画」
- 那覇市教育委員会「教職員の働き方改革に関する取組み」
- 株式会社EDUCOM「統合型校務支援システム C4th」
※2026年10月時点の公表資料に基づいて作成。各学校における具体的な運用状況については、今後の実態把握が必要です。

