教職員も労働者ですー労働者としての権利

教職員は、直接的な教育の担い手です

だからこそ、労働者としての権利は欠かせません

教員の地位に関する勧告

国際的な2つの機関、ILO(国際労働機関)とユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が共同して策定し、日本も加わった政府間会議で採択された国際規範である「教員の地位に関する勧告」は、教職員の地位と権利について、それらが特別に保護されるべきものであることを宣言しています

教員の地位に関する勧告(文科省ホームページ)

この勧告では、子どもらが人権や自由への尊重を身につけ、人間性と個性を全面的に発達させることなどを目的としていることから、そうした教育の目的・目標を完全に実現するうえで、教職員には正当な地位が保障されるようにしなければならないことを規定しています

日本の教育行政は多くの点で、この勧告の規定に及んでいません

労働者としての権利

労働時間などの勤務条件と労働安全衛生

教職員も、不当な労働条件を強いられることのないよう労働基準法(労基法)、労働安全衛生法などの法令によって、その基本的な人間としての権利を守ることが企図されています

1日8時間、週40時間という勤務時間法制は、法律と条例で教職員にも確立されています

しかしながら「公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)という法律で「超過勤務は原則として認めない」としておきながら、一方で「超過勤務をしても、(自主性を理由に)超過勤務手当を出さない」という枠組みを作ったことから、「自主的に残業している」とされ、残業代の出ない超過勤務が蔓延する事態になっています

公務員であることを理由に、いくつかの労働基準を「適用除外」に

労働基準監督署の監督が除外

一番の問題は、基準を逸脱した勤務に労働基準監督署の監督が及ばないことから、違法状態が野放しになっていることです

除外している理由は、「法令遵守を前提にしている行政庁は違反を犯さないことを前提としているからです。これは実態と合いません。人事委員会(公平委員会)が労基法違反の申告を受付け是正をはかる役割を担っていますが、機能しているとは言い難い現状です。組合や教職員自身も公平委員会の積極的な活用をしていくことが大事です

労基法や労働安全衛生法などの法規を使って積極的に権利を求める活動が求められています。人事委員会の措置要求の活用なども必要です

人事委員会の措置要求(人事院ホームページ)

団体交渉権や争議権などの労働基本権が保障されていない

教職員は、他から給与を得て他で定められた労働条件のもとで勤務をするという立場ですから、典型的な労働者です。労働者は自身で労働条件を自由に決めることができません。それゆえ、労働基本権をはじめさまざまな権利が付与され、その立場を強めさせて、労使が対等の立場に近づけるような手立てをとっています。

教職員は公務員であることを理由に、長い間、団体交渉権や争議権が保障されず、対等の立場で労働条件を決めるという立場にはありませんでした。教育行政や、ときには国や自治体の議会が、労働条件を一方的に切り下げる攻撃も加えられてきました。多くの教職員が組合に参加し、労働条件の向上に向けて粘り強い取り組みを続けてきました。

今、公務員法制の大幅な見直し作業が進められており、労働基本権回復にむけての動きが強まっています

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