私たちの権利ダイジェスト

私たちの権利は、当たり前に存在するものではなく組合の先輩たちが勝ち取ってきた歴史があります。組合は教育行政との交渉権を持っています。ぜひ組合に参加して組合の活動を支えてください。それが現場の教職員を守ることにつながっていきます。

勤務時間

新人先生
新人先生

教員の勤務時間は、どうなっていますか?

バリバリ先生
バリバリ先生

休憩時間を除き1日7時間45分、1週間で38時間45分です。

時間外勤務は「原則として命じられない」ことにされています。

 「公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)によって、公立学校の教職員に「時間外勤務」を命じることができるのは次の4項目(「限定4項目」)のみとされており、それも「臨時または緊急のやむを得ない必要があるときに限る」と定められています。

  1. 校外実習その他生徒の実習に関する業務
  2. 修学旅行その他学校の行事に関する業務
  3. 職員会議に関する業務
  4. 非常災害の場合、児童または生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 なお、週休日(土日)に勤務した場合には、その「前4週、後8週」などの期間内(都道府県・政令市によって期間が異なります)に振り替えて休むことができます。

 しかし、現実には、長時間に及ぶ時間外勤務の実態があります。政府は、「1年単位の変形労働時間制」という制度を導入して平日の所定勤務時間を延長し、時間外勤務の実態を覆い隠そうとしています。「休日のまとめ取り」が目的だとされていますが、導入しなくても休日をまとめて取ることは可能です。

 「1日8時間労働」の原則を堅持し、「労働安全衛生法」をいかした職場環境づくりをすすめるとともに、業務量の削減や教職員の大幅増員を求めていきましょう。

関わる法律 労働基準法32条・給特法第5条・第6条、労働安全衛生法

休憩時間

新人先生
新人先生

休憩時間とは、どのような時間ですか?

バリバリ先生
バリバリ先生

「勤務時間の途中に与えなければならない」時間であり、労働者に「自由に利用させなければならない」時間です。

 校長は所属校の職員に対し、1日の勤務時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩時間を、勤務時間の途中に保障しなければなりません。

 労働者に「自由に利用させなければならない」ということは、「仕事から離れることができる」ということですから、仕事のために待機する時間や準備時間は休憩時間に含まれません。また、休憩時間に職場を離れることも可能です。

 また、労働基準法は、労働組合などとの協定がない限り、「休憩時間は一斉に与えなければならない」としています。学校職場においても、毎年度の初めに、1日の勤務時間のどこに休憩時間を置くのか、全教職員で確認することになっています。

関わる法律 労働基準法第34条

休暇制度 

健康で働きつづけるために

新人先生
新人先生

休暇を取り入れたいときには、どのようにしたらよいですか?

バリバリ先生
バリバリ先生

4月採用者および前年度以前の採用者の場合、年間で20日間の「年次有給休暇」(「有休」または「年休」が保障されています。「有休」または「年休」を取りたいときは管理職にその旨伝えればよく、理由を説明する必要はありません。

「有休(年休)」以外にも、次のように様々な休暇制度があります。

関わる法律 労働基準法39条、他

日常的に

◆年次有給休暇

 すべての教職員に保障され、取得理由は問われません。時間単位でも取れることがほとんどです。行使されなかった年休は20日を上限に、翌年に繰り越しできます。

◆生理休暇

 1回の生理につき2~3日(電話で伝えるだけでOK)

結婚するとき

◆結婚休暇

 結婚生活に入るための諸行事をおこなうために5~7日の休暇が取れます。

妊娠・出産にあたって

◆妊娠者の休息、捕食

 妊娠中、適宜、休息または捕食する時間が認められています。

◆勤務軽減

 小・中学校の体育実技、障害児学校の勤務、養護教諭の勤務など、代替者が配置され、勤務を軽減することができます。

※沖縄県では制度化されていません。全国で36の都道府県で組合の交渉によって制度化が実現していますが、残念ながら沖縄では制度化されていません。沖教組那覇支部は制度化を求めて、交渉事項として運動を広げていきます。

◆通院休暇

 妊娠中および産後1年以内に、保健指導・健康診査を受けるための休暇が取れます。

◆通勤緩和休暇

 妊娠中、母体の健康維持をはかるために、1日1時間以内の勤務時間の繰り上げ・繰り下げができます。

◆妊娠障害休暇(つわり休暇)

 つわりや妊娠中の障害等で7~14日間の休暇を取ることができます。

◆出産休暇

 労働基準法では産前6週(多胎児14週)、産後8週ですが、教員は、ほとんどの都道府県で産前8週とされています。(沖縄県も)

◆出産補助休暇

 配偶者の出産にあたり、夫である男性教職員は2~3日の範囲で休暇が取れます。

◆不妊治療のための休暇

 特別休暇で5~10日間程度認められているところと、病気休暇で対応しているところがあります。代替者を配置して1年間以内の希望する期間の取得が実現した県もあります。

 沖縄県は、不妊治療は病気休暇で対応しており、90日の範囲内で必要と認める範囲内で病気休暇を与えることができるとされています。

 しかし、沖教組は学校現場の多忙の状況を鑑み、不妊治療のための休暇を男女問わず1年間取得することができるようにすることなどを求めた要請を県にしています。

育児・子育てのために

◆育児休業

 子どもが3歳に達する日まで取得可能(男性も可)です。無給ですが1歳まで、育児休業手当金の支給があります(特別な事情がある場合、2歳まで延長可)。

◆育児休暇(育児時間)

 乳幼児を育てる場合に取得できます(有休、代替なし)。取得できる子どもの年齢、時間については都道府県・政令市によって異なります。

◆育児のための短時間勤務

 子どもが小学校就学の始期に達するまでの間、育児のための短時間勤務ができます(基本給・職務関連手当は勤務時間数に応じた額、代替もあり)。

 次の4つのパターンのいずれかを選択します。

  1. 3時間55分×週5日勤務
  2. 4時間55分×週5日勤務
  3. 7時間45分×週3日勤務
  4. 7時間45分×週2日+3時間55分×週1日勤務

◆部分休業

 子どもが小学校就学の始期に達するまでの間、1日2時間まで取得できます(無給、代替なし)。小学校就学後も取得できるようになった都道府県も出てきています。

◆子どもの看護休暇

 子ども1人の場合は5日、2人以上は10日まで取得できます。対象の子どもの年齢や取得要件、日数は都道府県・政令市によって異なります(有休)。

病気のとき

◆病気休暇

 90日まで取得できます(有休)。疾病の種類によって180日まで認められる都道府県もあります。

家族の介護が必要になったとき

◆介護休暇

 病気、負傷、老齢などにより2週間以上にわたり日常生活に支障がある者の介護をおこなうための休暇です。1つの継続する状態ごとに3回まで分割して取得できます。期間は180日です(無給、介護休業手当金の支給あり、代替なし)。

◆短期の介護休暇

 病気、負傷、老齢などにより2週間以上にわたり日常生活に支障がある者の介護をおこなうための特別休暇です。要介護者一人につき1年に5日、2人以上の場合は10日。1日単位でも1時間単位でsも取得できます(有休)。

◆介護のための部分休業

 要介護家族の介護をするため、連続する3年の期間内において1日につき2時間を超えない範囲内で勤務しないことができます(無給)。

条件附採用 

採用1年目からも権利は保証されます

新人先生
新人先生

採用1年目です。「1年間は条件付き任用だ」と言われました。教職員としての権利が制限されるのですか?

バリバリ先生
バリバリ先生

そんなことはありません。教育の充実のためには教職員の身分を安定させることが不可欠です。権利はすべての教職員に保障されます。

 以前、公立学校に採用された教職員の「条件付き任用」は6カ月間でしたが、「教諭」等については1988年に1年間の「初任者研修」が法制化され、「条件付任用」の期間も1年間とされました。ただし、養護教諭と栄養職員は法制化された「初任者研修」の対象外ですので、「条件付任用」は6カ月間です。

 いずれの場合も、「条件付任用」期間経過後に正式採用になりますが、「条件付任用」の期間中も、地方公務員法や都道府県の勤務条例はほぼ全面的に適用されます。「有休(年休)」や「病気休暇」などの特別休暇、「出産休暇」や「育児休業」も、当然認められます。

 ただし、病気が長期化した場合に措置される「病気休職」は摘要除外となりますので、注意してください。

関わる法律 教育公務員特例法第12条・13条

臨時的任用

正規と同等の権利保障を求めます

新人先生
新人先生

臨時的任用の教職員でも、「有休(年休)」や「病気休暇」は取れるのでしょうか?

バリバリ先生
バリバリ先生

法律や条例が定める各手当や「有休(年休)」や「病気休暇」などの特別休暇、「出産休暇」など、臨時的任用の教職員も正規の教職員と同様に取得することができます。ただし、臨時的任用の場合の賃金や権利は都道府県によって異なります。

 教職員組合の粘り強い要求によって、臨時的任用の教職員の権利は徐々に拡充されています。しかし、自治体によっては制度的な対応が不十分なところもあり、任用期間の月数に応じて「有休(年休)」の日数が制限されたり、臨時的任用の教職員が「出産休暇」を取る場合に代替者の配置がなかったりなど、権利があっても使いにくいところがまだまだあります。

 同じ仕事をする仲間として、同等の権利を保障するのは当たり前のことであり、これからもとりくみを強化していきます。

関わる法律 パートタイム・有期雇用労働法第3条、ILO憲章前文(同一価値労働同一賃金原則)

職場のハラスメント

ひとりで悩まず、仲間に相談を

新人先生
新人先生

職員室の同僚の前や子どもたちのいるところで管理職から怒鳴られ、とてもつらい思いをしました。仕事ができない自分が悪いのかもしれませんが、我慢できません。

バリバリ先生
バリバリ先生

管理職や同僚からの威圧的な言動は「パワーハラスメント(パワハラ)」であり、人権侵害です。一人で悩まず、信頼できる職場の仲間や教職員組合に相談し、力を合わせて問題を解決していきましょう。

 職場のハラスメントとしては、「パワハラ」以外にも、妊娠・出産・育児をおこなう者に対して威圧的な言動や権利の取得を妨害する言動をおこなう「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」、性的な嫌がらせや性差別的な言動により不快感を与えたり、働くうえで不利益を与えたりする「セクシャル・ハラスメント(セクハラ)」、「時(間)短(縮)ハラスメント(ジタハラ)」などが指摘されています。

 ハラスメントは人権侵害であるとともに、職場の人間関係を壊し、子どもたちの教育にも悪影響を与えます。教職員組合は、あらゆるハラスメントを許さず、ハラスメントに苦しむ教職員を守り、ハラスメントの解消にむけて一緒に考え、行動するよきパートナーです。

関わる法律 労働契約法第5条、男女雇用機会均等法第11条、女性活躍推進法一部改正法及び国会付帯決議

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